歯を1本失っただけで足の力が弱くなる?実は身体はつながっています

歯を1本失っただけで足の力が弱くなる?実は身体はつながっています

「最近、片足で立つとフラフラする」
「以前より足に力が入りにくい」
「歯を抜いてから、身体のバランスが変わった気がする」

このような経験はありませんか?

一見すると、歯と足には何の関係もなさそうです。

しかし、身体はそれぞれの部分が完全に独立して動いているわけではありません。

特に「噛む」という動作は、顎だけでなく、頭や首、体幹、さらに下半身の姿勢制御にも関係しています。

今回は、なぜ歯を1本失うことが身体全体のバランスに影響する可能性があるのかを、できるだけ簡単に説明します。

歯は「噛むため」だけのものではありません

歯には、食べ物を噛み砕くという大切な役割があります。

しかし、それだけではありません。

歯の周りには「歯根膜」という組織があります。

歯根膜には、歯にかかる圧力などを感じ取るセンサーがあります。

例えば、硬い物を噛んだとき、

「今、これくらいの力で噛んでいる」

という情報を脳へ伝えています。

つまり歯は、単なる「食べ物を噛む道具」ではなく、身体の状態を脳へ伝える感覚器の一部でもあります。

歯を1本失うと「噛み方」が変わる

例えば右側の奥歯を1本失ったとします。

すると、

右では噛みにくい
↓
左側で噛むことが増える
↓
左右の噛む力や回数が変わる

ということが起こる場合があります。

もちろん、歯を1本失った人すべてに大きな身体変化が起こるわけではありません。

しかし、噛み方が変われば、顎を動かす筋肉の使い方も変わります。

さらに、顎の周囲には頭や首の動きに関係する筋肉もあります。

そのため、長期間にわたって噛み方の左右差が続くと、身体の使い方に変化が出る人もいます。

なぜ「足」まで影響するのでしょうか?

ここが一番不思議なところです。

私たちは歩いたり立ったりするとき、

足だけで身体を支えているわけではありません。

頭
↓
首
↓
背骨
↓
骨盤
↓
股関節
↓
膝
↓
足首
↓
足

というように、全身を使ってバランスを取っています。

例えば頭が少し傾けば、身体は倒れないように別の場所を調整します。

首や体幹が変われば、骨盤や股関節の使い方も変わります。

そして最終的に、足の荷重の仕方にも変化が出ることがあります。

つまり、

「歯が悪いから足が悪くなる」

という単純な話ではありません。

「噛み方の変化が、姿勢や身体の使い方に影響し、その結果として足の使い方まで変わることがある」

という考え方です。

「足の筋力が落ちた」とは限りません

ここも非常に重要です。

足に力が入りにくいからといって、必ずしも筋肉そのものが弱くなったとは限りません。

例えば、

・体重を右に乗せにくい
・片足で立つと不安定
・膝が伸びきらない
・足指に力が入りにくい
・股関節をうまく使えない

など、身体の「力の使い方」が変化している可能性もあります。

筋肉の最大パワーではなく、

「どの筋肉を、いつ、どれくらい使うか」

という身体のコントロールの問題です。

そのため、単純に脚の筋トレだけをしても、思ったように改善しないケースがあります。

歯を失った方は「身体全体」を見ることも大切

歯を失った後に、

「片側だけで噛むようになった」

「顎が動かしにくい」

「首がいつも同じ方向を向いている」

「片足に体重を乗せやすい」

「片足立ちが左右で違う」

といった変化がある場合は、顎だけ、足だけを見るのではなく、全身のつながりを確認してみることをおすすめします。

当院でも、身体の状態を確認するときには、痛い場所だけを見るのではなく、

「どこに体重が乗っているのか」
「左右で動きに違いがあるのか」
「顎や首の動きに左右差があるのか」
「股関節や足首がどう動いているのか」

などを確認します。

大切なのは「歯か足か」ではなく身体全体を見ること

歯を1本失ったからといって、必ず足の力が弱くなるわけではありません。

また、足の不調をすべて噛み合わせのせいにすることもできません。

腰や神経、股関節、膝、足首など、別の原因が隠れている場合もあります。

だからこそ、

「足が弱くなったから足だけ鍛える」

「顎がおかしいから顎だけを見る」

と決めつけないことが大切です。

身体は一つにつながっています。

歯を失った後に身体のバランスや足の使い方まで変わったと感じる場合は、まず現在の身体の動きを確認してみましょう。

痛みのある場所だけではなく、身体全体から原因を探していくことで、今まで気づかなかった身体の使い方が見つかることがあります。

※急に片側の足に力が入らなくなった、しびれを伴う、歩けないなどの症状がある場合は、整体よりも先に医療機関での評価が必要です。