走るのが遅いのは才能ではなく体の使い方だった

走るのが遅いのは才能ではなく体の使い方だった

走るのが遅い。

運動会や体育の時間、マラソン大会、部活の走り込みなどで、そう感じてきた人は少なくありません。子どもの頃からずっと足が遅く、努力しても変わらなかった経験があると、大人になってからも「自分は走るのが苦手」「運動神経が悪い」と思い込んでしまいがちです。

しかし実際には、走るのが遅い原因の多くは才能や体力以前の問題であるケースが非常に多く見られます。筋力不足でも、心肺機能の問題でもなく、体の使い方や動きのクセがスピードを奪っていることがほとんどです。

ここでは、走るのが遅くなる本当の理由と、体の視点から見た改善のヒントについて詳しく解説していきます。

走るのが遅い人がまず誤解していること

走るのが遅い人ほど、「筋トレが足りない」「脚力が弱い」「センスがない」と考えがちです。そのため、スクワットやランニング量を増やすなど、努力の方向がズレてしまうことが多くあります。

走る動作は、単純に脚を速く動かせば速くなるものではありません。全身の連動、特に骨盤と背骨の動き、足首の使い方、腕振りとの協調が大きく関わっています。

たとえば、脚の筋力が平均以上でも、骨盤がほとんど動いていなければストライドは伸びません。足首が固い状態で地面を蹴ろうとすれば、力は前ではなく上や後ろに逃げてしまいます。

このように、走るスピードは筋肉量よりも動きの質で決まる部分が非常に大きいのです。

体が前に進まない走り方になっている

走るのが遅い人の体を観察すると、共通した特徴があります。それは「前に進むための姿勢が作れていない」という点です。

上半身が後ろに反っていたり、逆に猫背で丸まっていたりすると、地面を蹴った力が効率よく前進に変換されません。頭の位置が体の中心より後ろにあるだけで、ブレーキをかけながら走っている状態になります。

また、骨盤が過度に前傾、もしくは後傾している場合も、脚が地面を正しく捉えられなくなります。その結果、接地時間が長くなり、スピードが出にくくなります。

本人は一生懸命走っているつもりでも、体の配置そのものが減速装置になっていることは珍しくありません。

足首と股関節がスピードを左右する

走りのスピードに大きく影響するのが、足首と股関節の動きです。特に足首は、地面からの反発を受け取る重要な関節です。

足首が硬いと、接地した瞬間に衝撃を吸収できず、反発力を前に伝えられません。その結果、ピッチが上がらず、走りが重たく見えるようになります。

一方、股関節がうまく使えていない場合、脚を前に振り出す動きが小さくなります。太ももだけを振り回すような走りになり、疲れやすく、スピードも出ません。

速く走れている人ほど、股関節から脚が自然に前へ出て、足首がしなやかに地面と接しています。ここに大きな差があります。

腕振りが走りを邪魔していることもある

意外と見落とされがちなのが腕振りです。腕は脚の補助と思われがちですが、実際には走り全体のリズムとバランスを作っています。

腕を横に振っていたり、力んで振りすぎていたりすると、体幹が安定せず、脚の動きも乱れます。肩がすくんだ状態で走ると、呼吸も浅くなり、後半で失速しやすくなります。

走るのが遅い人ほど、腕に無駄な力が入り、逆に脚が自由に動けなくなっているケースが多く見られます。

走るのが遅い原因は日常動作に隠れている

走りのクセは、実は普段の立ち方や歩き方から作られています。片脚に体重を乗せて立つクセ、足を引きずるような歩行、椅子に浅く腰掛ける姿勢など、日常の積み重ねが走りにそのまま表れます。

特に、足裏の使い方が崩れていると、地面を蹴る感覚が育ちません。結果として、走るときも力の入れどころが分からず、スピードが出ないままになります。

走る練習だけをしても変わらない人は、日常動作を見直す必要があります。

走るのが遅いのは改善できる

走るのが遅いことは、生まれつきの能力ではありません。体の使い方を整理し、動きのロスを減らすことで、多くの人は確実に走りやすくなります。

実際、運動が苦手だと思っていた人が、姿勢や足首、股関節の使い方を整えただけで、走る感覚が大きく変わるケースは少なくありません。

大切なのは、闇雲に鍛えることではなく、自分の体がどう動いているかを知ることです。そこから修正を加えていくことで、走りは必ず変化していきます。