「仕事柄、足が痛くなるのは仕方ない」
建設・運送・介護の現場で、こうした言葉をよく耳にします。確かにこれらの仕事は、長時間の立位・歩行・重量物の扱い・中腰姿勢など、下半身への負荷が非常に大きい職種です。
しかし、痛みの原因=使いすぎと決めつけてしまうと、本来改善できる不調まで慢性化してしまいます。
実際、整体の臨床では「骨が壊れている」のではなく、足の使い方が崩れているだけというケースが非常に多く見られます。
ここでは、建設・運送・介護それぞれの仕事特性から見た
「仕事で多い足の疾患」と、その本質的な原因を解説していきます。
建設業で多い足の疾患
① 足底筋膜炎・かかとの痛み
建設業で圧倒的に多いのが、かかとや土踏まずの痛みです。
長時間の立位、硬い地面、安全靴による足部の拘束。これらが重なり、足裏のクッション機能が限界を迎えます。
注目すべきは、痛みが出ている「足裏」そのものよりも、
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足首の背屈制限
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ふくらはぎの過緊張
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骨盤前傾姿勢
これらがセットで起きている点です。
つまり、足底は衝撃を逃がせない構造になり、最後の受け皿として悲鳴を上げている状態です。
整体では、足底だけをほぐすのではなく、
下腿〜股関節〜体幹の連動回復を行うことで、再発しにくい改善が可能です。
② アキレス腱周囲炎・ふくらはぎの慢性張り
踏ん張り動作や不安定な足場での作業が多い建設業では、ふくらはぎが常にブレーキ役を担います。
その結果、アキレス腱周囲に負担が集中し、炎症や違和感が慢性化します。
ここで重要なのは、
「ふくらはぎが硬い=マッサージ不足」ではない、という点です。
多くの場合、股関節がうまく伸びず、本来お尻が行う仕事を下腿が代行しています。
整体的には、殿筋群と股関節伸展の再獲得が鍵になります。
運送業で多い足の疾患
① 膝痛(膝蓋下・膝裏の痛み)
運送業では、乗り降り・階段・荷物の積み下ろしが頻繁に行われます。
この反復動作により、膝へのストレスが蓄積しやすくなります。
特徴的なのは、
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階段で痛む
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しゃがむと違和感
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膝が抜けそうな感覚
これらは、膝自体の問題というより、
股関節と足首の可動域不足が原因であることがほとんどです。
膝は「曲げ伸ばしの関節」ですが、
本来は回旋や衝撃分散を上下の関節が助ける設計になっています。
その連動が崩れると、膝が一人で耐えることになり痛みが出ます。
整体では、膝を守る環境を整えることで、症状が大きく改善します。
② 太もも・お尻のだるさ
長時間の運転姿勢は、股関節を固め、殿筋を眠らせます。
その結果、荷物を持つ瞬間だけ急に負荷がかかり、太ももやお尻に違和感が残ります。
これは筋力不足ではなく、
使うタイミングを失っている状態です。
神経と筋の再接続が行われれば、痛みは自然と減っていきます。
介護職で多い足の疾患
① 股関節痛・内ももの違和感
介護職では、中腰・片脚荷重・ねじり動作が日常的に発生します。
特に多いのが、股関節の前側や内ももの痛みです。
これは、体幹が不安定なまま、
足だけで体を支え続けている状態が原因です。
本来、体重支持は体幹と股関節が連動して行うものですが、忙しい現場ではそこが崩れやすくなります。
整体では、
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骨盤の安定性
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股関節の可動性
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呼吸との連動
を整えることで、負担を大きく減らすことが可能です。
② 足のむくみ・だるさ
介護職は「動き続ける立ち仕事」です。
静止ではなく、常に微調整を行うため、下腿の循環が滞りやすくなります。
むくみは循環の問題であり、
単なる疲労ではありません。
足首・膝・股関節の動きが回復することで、自然と改善していくケースが多く見られます。
まとめ:仕事のせいにしない、という選択
建設・運送・介護に共通するのは、
足を酷使しているのではなく、足に頼りすぎているという点です。
壊れてから対処するのではなく、
「なぜそこに負担が集中したのか」を見直すことで、
仕事を続けながらでも改善は十分に可能です。
足の痛みは、体からの小さな警告。
その声を無視せず、全身の使い方を整えることが、長く働くための一番の近道です。


