何をしても変わらなかったO脚
今回の患者さんの主訴はO脚。
さらに股関節痛、膝痛、顎関節の違和感も抱えていました。
股関節の柔軟性は悪くない。
内転筋もそれほど硬くない。
骨盤の歪みも大きくない。
それでも脚のラインが整わない。
「何か見落としている」
そう感じていました。
待合室で見つけた“あるクセ”
ヒントは施術中ではなく、待合室にありました。
ソファに座っている姿勢を何気なく見ると、
両足はかかとが浮き、つま先だけが床に触れている状態。
足首は常に下を向いた姿勢。
まるでバレリーナが休憩しているような足。
その方に聞くと、
「この姿勢が一番楽なんです」
さらに立位で「かかとに体重を乗せてみてください」とお願いすると、
「後ろに倒れそうで怖い」
と即答。
ここで全てがつながりました。
足首が下を向いたままの身体に起きていたこと
足首が常に下向き、つまり“つま先立ち方向”が楽な状態になると、
かかとを使う機能が弱くなります。
本来歩行では、
かかとから接地
↓
足裏全体へ体重移動
↓
つま先で蹴り出す
という流れが自然です。
しかしこのタイプの方は、
つま先寄りで支える
↓
かかとが安定しない
↓
足首が固まる
↓
前ももや外ももに頼る
というパターンになります。
すると足首の動きは徐々に制限され、
いわゆる「足首が硬い」状態に。
ですがそれは単なる柔軟性不足ではなく、
“使っていない”ことによる機能低下でした。
かかとに乗れない人の共通点
この患者さんには次の特徴がありました。
・かかと重心が不安
・むくみやすい
・加圧ソックスを常に着用
・前ももが張りやすい
・膝が外に広がりやすい
・歩くと腰が痛い
足首が下向きのまま固定されると、
ふくらはぎの筋肉が常に縮んだままになります。
すると血液を押し戻すポンプ機能が弱まり、
むくみやすくなる。
さらに足の外側に体重がかかりやすくなり、
すねの骨が外にねじれます。
その結果、膝はO脚方向へ。
股関節は外向きに固定。
骨盤は前に押し出され、腰が反る。
そして体幹のねじれが増え、
首や顎にも影響が及ぶ。
足元の小さなクセが、
全身の配列を変えていたのです。
O脚・股関節痛・顎関節症までつながる理由
身体は一つの連動システムです。
足が外に固定
↓
すねが外ねじれ
↓
膝が外へ
↓
太もも外向き
↓
骨盤が安定しない
↓
体幹で代償
↓
首でバランスを取る
↓
顎に負担
O脚だけを見ていては、
この連鎖は止まりません。
土台を変えなければ、
上は整わない。
今回の発見はそこにありました。
解決のヒントは「かかとに安心して乗る練習」
重要なのは、足首を無理に柔らかくすることではありません。
まず必要なのは、
「かかとに乗っても大丈夫」
という神経の再教育です。
後ろに倒れそう、という感覚は
筋力不足というよりも“恐怖反応”に近いもの。
その不安を少しずつ減らすことが鍵になります。
このタイプの方への具体的セルフケア
① 壁の前に立ちます
② 足裏を床にぴったりつける
③ かかとを浮かせず、ゆっくり膝を前に出す
④ 小さな動きを10回
これだけです。
ポイントは
「伸ばそうとしないこと」
足首を柔らかくする意識ではなく、
かかとで立つ安心感を作ること。
さらに歩く時は、
「静かにかかとから着地する」
それだけを意識してください。
これを続けた結果、
患者さんの脚のラインは少しずつ変化し始めました。
股関節の張りも軽減。
膝の違和感も減少。
歩行時の腰痛も改善。
原因は股関節ではありませんでした。
答えは足首。
正確に言えば、
“かかとを使えない足首”でした。
O脚がなかなか改善しない方。
もし「かかとに乗ると不安」があるなら、
一度足元を見直してみてください。
身体は必ず理由があって今の形をしています。
そしてその理由がわかれば、
改善の道は必ず見えてきます。


