「最近、足の裏がジンジンしびれる」「かかとや土踏まずがピリピリ痛む」
そんな症状があると、まず「足根管症候群(そっこんかんしょうこうぐん)」という言葉を聞くことがあります。
これは、足首の内くるぶしの後ろを通る**脛骨神経(けいこつしんけい)**という神経が圧迫されることで起こるトラブル。
いわば、神経が通るトンネル(足根管)が狭くなって、電気の流れが悪くなっているような状態です。
でも実はこの「足根管が狭くなる原因」、足首そのものにあるとは限らないんです。
多くの方が「足だけの問題」だと思い込み、足首まわりをいくら治療しても、なかなか改善しない……。
実際の現場では、骨盤や体全体のバランスの崩れが関わっているケースが非常に多いのです。
見落とされがちな一番の原因:骨盤のゆがみ
骨盤は体の土台のような存在。
ここが傾いたりねじれたりすると、その上の背骨だけでなく、下の足にも影響が波及します。
骨盤が前に倒れすぎたり(前傾)、左右どちらかに回旋したりすると、
股関節の向きが変わり、すねの骨(脛骨)が内側にねじれやすくなります。
この「脛骨の内旋」は、足首を**回内(かいない:内側に倒れ込む動き)**方向に導きます。
すると、足首の内側にある足根管は潰れるように狭くなり、
中を通る脛骨神経が圧迫されてしまうのです。
つまり、骨盤のゆがみ → 下肢のねじれ → 足根管の圧迫
という“上から下への連鎖”で起こっている場合が多いということ。
足首だけをほぐしても、上流の「骨盤の歪み」が残っていれば、
またすぐに元の状態に戻ってしまうのです。
扁平足・足の回内(内倒れ)
土踏まずが潰れて足裏がベタッと接地している「扁平足(へんぺいそく)」の方も、足根管症候群になりやすいタイプです。
アーチ(土踏まず)が崩れると、足首が回内方向に倒れやすく、
足根管の中の神経や血管が圧迫されやすくなります。
また、足のアーチが弱い人は、歩くたびに神経がこすれ、
しびれや違和感が慢性化してしまうこともあります。
土踏まずを持ち上げるようなエクササイズ(タオルギャザーなど)で、
足のアーチを再教育していくことが大切です。
ふくらはぎ(ヒラメ筋・後脛骨筋)のこわばり
足根管の周囲には、ふくらはぎの奥にあるヒラメ筋や後脛骨筋といった筋肉の腱が通っています。
これらの筋肉が疲労や姿勢不良で硬くなると、
神経の通り道を“締め付けるように”狭めてしまうのです。
特にデスクワークや立ち仕事が長い方は、常に足首が軽く底屈(下に向く)状態が続き、
筋肉が縮こまりやすい傾向にあります。
「ふくらはぎをほぐしてもスッキリしない」「夕方になるとしびれが強くなる」
そんな人は、筋肉の硬さだけでなく骨盤の位置から整える必要があるかもしれません。
過去のケガ(捻挫)による癒着
意外と多いのが「昔の捻挫」が原因になっているケース。
痛みは治まっても、靱帯や筋膜の奥に**癒着(ゆちゃく)**が残っており、
神経の滑りが悪くなっていることがあります。
神経は本来、筋肉や靱帯の間をスルスル動く構造ですが、
この滑走性が失われると、ちょっとした動作でも“引っ張られる刺激”が生じてしまいます。
結果、軽い圧迫でもしびれが出やすくなるのです。
むくみ・冷え・炎症
長時間の立ち仕事や、ホルモンバランスの変化によって起こる「足のむくみ」も見逃せません。
足根管は神経・血管・腱が密集しているため、
少しでも内圧が上がると神経が圧迫されやすくなります。
特に女性では、冷えや生理周期によってむくみが出やすく、
症状が日によって強くなったり弱くなったりすることも。
この場合は、リンパや静脈の流れを良くする体液循環アプローチが有効です。
腰椎や坐骨神経のトラブルが関係することも
「足がしびれる=足の神経の問題」と思われがちですが、
実は腰椎(ようつい)や骨盤の神経が発端になっていることもあります。
腰のL5~S1という神経根が圧迫されると、
その枝である脛骨神経が過敏になり、足根管部で症状が出ることがあります。
つまり、足根管症候群のように見えて、
実は「腰由来の足のしびれ」だった、というケースも少なくないのです。
腰・骨盤・足首をトータルで評価することが、根本的な解決につながります。
足底筋膜炎・モートン病との連鎖
足底筋膜が硬くなりすぎると、足根管の中の神経にもストレスが伝わります。
また、足の指の間で神経が圧迫される「モートン神経腫」を併発している人も少なくありません。
これらの症状は見た目が似ているため、
「足の裏がしびれる」と言っても実際は複数の原因が絡んでいることが多いのです。
靴・インソール・歩行習慣
毎日履く靴の影響も大きいです。
硬いソール、かかとの高い靴、サイズの合っていない靴は、
足根管の中を通る神経に持続的な圧迫ストレスを与えます。
また、歩くときに「つま先をうまく使えていない」人も要注意。
蹴り出し動作が弱いと、足首まわりの筋肉や神経が常に同じ位置で引っ張られ、
滑走不全を起こしてしまいます。
歩行指導やインソール調整も、神経トラブルには欠かせません。
足だけ治しても治らない理由
こうして見ると、足根管症候群の原因は足首の中だけにとどまりません。
むしろ、上流にある骨盤や姿勢のゆがみこそが、すべての出発点になっていることが多いのです。
足首をマッサージしても、骨盤が歪んだままでは重心バランスが崩れ続け、
神経へのストレスも再発します。
だからこそ、根本改善には「足を見る前に骨盤を見る」ことが大切なのです。
まずはここをチェック!骨盤型しびれのサイン
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片足立ちでぐらつく
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靴底の減り方が左右で違う
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足のしびれが片側だけ
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長時間立っていると腰が重くなる
ひとつでも当てはまる方は、骨盤のゆがみが足のしびれを誘発している可能性があります。
改善のポイント
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骨盤〜下肢のアライメント調整
整体やストレッチで骨盤・股関節・脛骨のねじれを整える。 -
筋肉の柔軟性回復
後脛骨筋やヒラメ筋など、足根管を囲む筋肉を緩める。 -
アーチの再教育
タオルギャザー・トゥスプレッド(足指の開き)などで足底の感覚を呼び戻す。 -
正しい靴選びと歩行フォーム
足に合った靴・インソールを使い、つま先の蹴り出しを意識する。
まとめ|足首を治す前に、骨盤を整えよう
足根管症候群は、足の神経が原因のように見えて、
実際は全身バランスの結果として出ている症状です。
足首だけに注目するのではなく、
「なぜそこに負担が集中したのか?」を身体全体で見ていくこと。
それこそが、再発しないための本当の治療です。
骨盤を整え、全身の連動を取り戻すことで、
足首の神経にも余裕が生まれ、しびれや痛みは自然と落ち着いていきます。
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